生殖医療

不妊症infertility

不妊症とは、『避妊をしていないのに2年以上にわたって妊娠に至らない状態』と定義されていますが、妊娠を望むカップルは1年以内に80%妊娠できるというデータがあります。現在、不妊で悩まれている方は、6組に1組と言われるほど多いです。
年齢によっても妊娠率は大きく差がでます。35~40歳の女性では、排卵時期のタイミングが合っていても妊娠率は約30%と言われています。また、体外受精をした際の成功率に関するデータを見ると、一般的には妊娠率は32歳から徐々に下がり始め、36歳までは1歳につき1%ずつ下がり、37歳以降だと1年に2%ずつ下がるというデータがあります。

妊娠の為に検査や治療が必要な場合もあります。そもそも不妊なのか、不妊原因は何か、どのような検査や治療が必要か、など人により異なるので、個人個人に合わせた検査や治療をオーダーメイドで行っていきます。

妊娠を直ぐに希望されている方、これからご結婚の予定がある方、まずは自分の体の状態をお知りになりたい方、など様々な方が当院にご来院されています。ぜひお気軽にご相談ください。

原因
女性因子

ホルモンの異常:甲状腺機能異常、高プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)血症、卵巣機能不全

男性因子

精液不良(乏精子症)

  • 性交不能

    勃起不全など

検査
血液検査
甲状腺ホルモン、プロラクチン、クラミジア、卵巣ホルモン、AMH(抗ミュラー管ホルモン)などをチェックします。
超音波検査
子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣腫瘍などの器質的異常をチェックします。
生理周期にあわせて子宮・卵胞の状態を確認していきます。
精液検査
受精に必要な精子の濃度があるか検査いたします。
子宮卵管造影
主に卵管の通過性を見る検査です。
ヒューナーテスト
(性交後試験)
性交後に子宮頸部まで到達している運動精子を見る検査です。

ソノヒステログラム
(超音波通水検査)
子宮内腔に異常がないか調べる検査です。滅菌水を子宮内腔に少量注入し、超音波で子宮内腔を間接的に観察します。
治療

ご本人のご希望や原因にあわせて必要な治療を行っていきます。

排卵誘発
卵子が受精しやすい環境にするために、必要に応じて内服薬や注射薬を使用できます。
タイミング療法
排卵時期に、性交のタイミングを合わせていきます。排卵時期を見定める為に超音波検査などを行います。
人工授精(AIH)
排卵時期に、マスターベーションで得た精子を洗浄濃縮し、運動精子を集めて子宮内に注入します。精液検査で良好精子が少ない場合や、ヒューナーテストの結果が良くない場合、性交が困難な場合(勃起不全、セックスレスなど)に有効な治療法です。
補助生殖技術(ART)
採取した卵子と精子を体外の環境で受精させ、受精卵を子宮内に戻す方法です。タイミング療法や人工授精で妊娠できない場合に選択されます。ARTが必要な方は適宜ご紹介させて頂いております。

不妊検査助成について

不妊検査助成について
東京都では不妊検査及び薬物療法や人工授精等の一般不妊治療にかかる費用の一部の助成があります。
事業の概要
保険医療機関にて行った不妊検査及び一般不妊治療に要した費用について5万円を上限に助成します。
対象者
  1. ① 検査開始日において法律上の婚姻関係にある夫婦であること。
  2. ② 検査開始日における妻の年齢が35歳未満であること。(夫の年齢制限はなし)
  3. ③ 検査開始日から申請日までの間、夫婦いずれかが継続して都内に住民登録していること。
  4. ④ 保険医療機関において夫婦ともに助成対象の検査を受けていること。

*対象や期間・申請など詳しくは 東京都福祉保健局のホームページで確認してください

不育症

妊娠しても、流産をくり返してしまう状態を不育症といいます。
流産は珍しいことではなく、1回の妊娠につき、妊娠した人全体の約15%は流産になるといわれています。流産率は女性の加齢とともに高まり、35歳で約20%、40歳で約40%、42歳で約50%と報告されています。
流産の原因の多くは、染色体異常です。染色体異常のリスクも女性の加齢とともに高まります。染色体異常は受精卵の段階で約40%、着床前の段階で約25%、妊娠初期の段階で約10%、自然に染色体異常の赤ちゃんが生まれる確率は0.6%と報告されています。
一般に2回続けて流産する場合を「反復流産」、3回以上続けて流産する場合を「習慣流産」といいます。習慣流産や、妊娠中期以降の胎児死亡は稀ですので、不育症の検査を受けることをお薦めします。

不育症の原因と検査

  • 子宮異常:子宮奇形、子宮筋腫、頚管無力症、子宮腔癒着症 など
    →子宮卵管造影検査、子宮鏡検査
  • 内分泌異常:高プロラクチン血症、甲状腺機能異常、糖尿病 など
    →血液検査
  • 免疫異常:抗リン脂質抗体症候群、自己免疫疾患、同種免疫異常 など
    →血液検査
  • 血液凝固機能障害(凝固因子欠乏症)など
    →血液検査
  • 感染症
    →培養検査、血液検査
  • 夫婦染色体異常
    →専門機関をご紹介いたします。

異常がみつかれば、その治療をします。しかし、約70%の方が、検査はすべて正常で、習慣流産の原因は不明です。

治療方法の一例

自己免疫異常、血液凝固異常による不育症の治療 … 薬物療法

不育症の原因の一つとして、近年「抗リン脂質抗体症候群」が注目されています。抗リン脂質抗体は、流産や死産のほか、重症妊娠高血圧症候群や胎盤機能不全にも関連しています。
抗リン脂質抗体症候群は、血液凝固異常を招くことから不育症を起こしやすいとされています。胎盤内で、抗リン脂質抗体によって血栓ができやすくなり、血液循環が阻害されます。その結果、胎芽・胎児に血液や栄養が届かずに流産・死産が起こりやすくなると考えられています。
また、抗リン脂質抗体症候群に起因しない、「血液凝固異常」(第XII因子欠乏症、プロテインS欠乏症、プロテインC欠乏症など)も血栓をつくりやすいことから、不育症になりやすいことがわかっています。
これら「抗リン脂質抗体症候群」や「血液凝固異常」の治療には、血栓ができるのを防ぐ薬物療法を行います。

【低用量アスピリン療法】
アスピリンは解熱鎮痛薬として知られています。血小板凝集抑制作用があるため、血栓が原因で起きる心筋梗塞や脳梗塞の再発予防薬としては、すでに公的医療保険の適用があります。抗リン脂質抗体症候群に対しては、現時点では公的医療保険の適用はありません。
【ヘパリン療法】
抗凝固薬であるヘパリンにより血栓の形成を予防します。
現在のところヘパリンは、注射用製剤のみで、在宅自己注射法が行われています。

子宮形態異常による不育症の治療…子宮形成術

子宮形態異常には、弓状子宮、中隔子宮、双角子宮、単角子宮、重複子宮などがあります。この中でとくに子宮内腔が2つに分かれている「中隔子宮」の流産率が高い傾向にあります。子宮形態異常があっても、必ず流産するとは限らないので、無治療の場合もあります。流産をくり返す場合には、子宮形成術という手術を検討します。

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