Cryopreservation

Cryopreservation

当院では、卵子凍結をおこなっています。
将来の妊娠のために今できる備えをお考えの方は、以下を十分にご理解いただき、
慎重にご検討ください。

卵子凍結とは

将来の妊娠に備えて卵子を凍結保存することです。
卵子はまだ精子と受精させる前の段階なので未受精卵とも言い、多くは未婚の女性が対象となります。
将来の妊娠・出産のために準備を行うことができます。

卵子凍結の目的

医学的適応
悪性腫瘍などの罹患により治療を行うことで卵巣機能が低下する可能性がある場合、
妊孕性を温存すること。
社会的適応
健康な状態でありながら、加齢などにより生殖能力が低下する前に凍結すること。

卵子凍結の成績

近年の凍結技術向上により、融解後高い生存率で卵子を凍結保存できるようになりました。
しかし、加齢などの要因により、融解後の卵子の生存率は異なります。凍結した卵子が全て将来、妊娠・出産に至るとは限らないため、より多くの卵子を凍結保存することが望ましいとされています。

凍結した卵子のうち、受精卵・移植可能な胚になる確率は20~30%です。
そのため、あくまで目安ですが20代では20個以上、30代前半では30個以上の凍結保存が望ましいとされています。

35歳までに
卵子凍結を行った場合※1
40歳を含む幅広い年代で
卵子凍結を行った場合※2
生存率 90~97% 68.6~89.7%
受精率 71~79% 71.7~85.8%
臨床
妊娠率
36~61% 10.8~3.3%

※1:Fertillity steril 2013;99:37-43
※2:Cil AP, Bang H, Oktay K. Age-specific probability of live birth with oocyte cryopreservation: an individual patient data meta-analysis. Fertil Steril. 2013;100:492–9.

採卵数と年齢別出産率(第1子換算)※1

10個 20個 30個 40個
ドナー卵子
(平均28歳)
80% 94% - -
34歳 75% 91% 95% -
37歳 53% 75% 87% 92%
40歳 30% 52% 65% 76%
42歳 21% 36% 49% 60%
44歳 7% 15% 21% 26%

※1:Human Reproduction,vol.32,No.4p853-859,2017

リスクについて

  • 排卵誘発剤による卵巣過剰刺激症候群(腹痛、腹部膨満感など)や、採卵時の痛み・腹腔内出血・炎症、
    麻酔による影響など。
  • 採卵術を行っても卵子が採取出来ない場合や、未熟卵や変性卵の場合は、凍結が出来ない。
  • 凍結卵子を融解した際に卵子の回収が不可能である場合や、卵子の変性が起きてしまった場合は
    顕微授精が実施できない。
  • 顕微授精を実施しても受精卵が得られない、または胚が順調に発育せず胚移植が行えない。

※リスクを最大限抑えるよう処置は行っていますが、上記のリスクを考慮した上でご検討ください。

費用について

卵子凍結は保険適用外の治療法です。
また原則、卵子凍結を目的として行う検査や処置、投薬に保険は適用されません。

※将来、妊娠を望んだ際は、卵子融解代および顕微授精代、胚移植代等が必要です。
詳細はスタッフにお尋ねください。