生殖医療科
不妊症・一般不妊治療について
Remedy
不妊症とは About
これまでは、2年以上避妊せずに性生活をおくっても妊娠しないカップルと定義されていました。
しかし、女性の結婚年齢が高くなったことなどにより、不妊症は増加してきています。
最近では1年間妊娠を希望しても、妊娠しないカップルを、不妊症と定義するようになってきました。
現在日本では、6組に1組のカップルが不妊症といわれています。
不妊症の原因
不妊症の原因は約40%が男性側にあり、約52%が女性側に原因があるとされています。
また、カップル共に原因がある場合もあります。
また、不妊原因は1つとは限らず重複していることも少なくありません。
女性の不妊症の原因
- 排卵因子
- 正常の月経周期は25~38日ですが、それより短かったり長かったり、もしくは月経が起こらないという場合には、ホルモンバランスの問題により、卵胞が育っていない、排卵が起こっていないなどが考えられます。
治療法としては薬物療法によりホルモンを管理し、卵胞の発育と排卵を促します。
原因排卵障害・高プロラクチン血症・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
- 卵管因子
- 卵管は排卵した卵を吸い上げ、受精した卵を育てながら子宮まで運ぶ大切な役割を担っています。
卵管が詰まっていたり、傷ついていたりすると不妊になっているケースが多くあります。
治療法としては、通過障害のある部位を広く押し広げ開通させる手術(卵管鏡下卵管形成術:FT)または、軽度な癒着であれば卵管造影検査で閉じてしまった卵管が開通されることもあります。
卵管が塞がってしまう原因となるクラミジア感染症等の治療も同時に必要となります。
もしくは、卵管の状態によっては手術をせずに体外受精が適用されます。
※当院では卵管鏡下卵管形成術を行っていません。ご希望の方はご紹介させていただきます。
原因クラミジア・骨盤内感染症などによる卵管閉塞・卵管水腫
- 子宮因子
- 子宮は受精卵が着床し赤ちゃんが育っていく場所です。
この子宮に出来た筋腫や子宮の形に問題があると、子宮内膜が妊娠に適した状態を維持できないことが原因で受精卵が着床出来ないことがあります。不正出血がある、月経が長引く、月経痛がひどいなどの症状がある場合は、早めに検査を受けましょう。
原因子宮筋腫・子宮内膜ポリープ・子宮奇形・子宮内膜症・黄体機能不全
- 頸管因子
- 子宮頸管は膣と子宮をつないでいる部分です。
自然妊娠の場合、ここから精子が進入していくのですが、頸管粘液の粘りが強く精子が子宮に進入することができない場合(頸管粘液の異常)や、女性の身体が精子を異物とみなし精子の侵入を阻止する抗体(抗精子抗体)を作ってしまうことで、妊娠ができない状態となってしまうことがあります。
原因子宮頸部の炎症・子宮頸部の手術・抗精子抗体
- 原因不明/機能性不妊
- 検査を受けても不妊の原因が見つからないことは多く、機能性不妊と言われています。
この場合は一般的に、タイミング法→人工授精→体外受精とステップアップ治療を行います。
男性の不妊症の原因
- 造精機能障害
- 精巣で精子が作られていない非閉塞性無精子症、精子の数が少ない乏精子症、運動率の低い精子無力症などがあります。精索静脈瘤は、精巣内の血管弁の機能不全で血液循環が悪くなり、精巣近くに静脈瘤ができて睾丸の温度が上がり精子が死滅してしまいます。
原因無精子症・乏精子症・精子無力症・奇形精子症・精索静脈瘤・先天性異常など
- 精路障害
- 精巣上体管や精管が閉塞し精子が精液に混ざらない閉塞性無精子症、精液が膀胱に逆流してしまう逆行性射精障害があります。
原因閉塞性無精子症・クラミジア・逆行性射精・先天性異常など
- 性交障害
- 勃起できず性交渉を持てない場合やマスターベーションのみで射精が可能な場合。
原因勃起障害(ED)・射精障害(誤ったマスターベーション)・糖尿病など
一般不妊治療 Treatment
一般的には、タイミング法で妊娠しなかった場合、次は人工授精が行われることが多いです。
人工授精で妊娠しなかったら、その後体外受精にステップアップします。
当院では、タイミング法と人工授精ともに4~6周期程度としておりますが、患者様によってこれまでの治療歴や女性の年齢、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患が合併している場合などを考慮して治療方針を決定しております。
タイミング法
タイミング法は、正確な排卵日を予測し、それに合わせて性交渉を持つ治療法です。
タイミング法の妊娠率について
タイミング法での妊娠率は不妊症ではないカップルでは8~10%とされており、避妊をせず半年で妊娠が成立する確率です。
不妊症カップルの場合は2~4%とされています。
人工授精(AIH)
人工授精は、精子を採取し、洗浄・濃縮して運動性の高い精子を選別し、受精しやすい状態にしてから、排卵時期に合わせて子宮に注入する方法です。
人工授精の妊娠率について
1周期あたりの妊娠率は6~9%とされています。
また、人工授精を4~5周期行っても妊娠率は上昇しないという事が言われています。
その場合は、年齢等を考慮して体外受精へのステップアップをご提案させていただきます。