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皆さん、こんにちは。
生殖医療 培養部 富田です。
前回は、排卵前の卵子の状態についてお話しました。
「私の卵子は大丈夫かしら?」や「私の卵子はいくつぐらいあるのか?」など不安になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今日は、AMHについてお話します。
AMHとは、『アンチミューラリアンホルモン』または『抗ミュラー管ホルモン』の略で、発育過程にある卵胞から分泌される女性ホルモンの一種です。
そのため、AMHは卵巣予備能の目安となります。
卵子の数が多いと血液中のAMHの値も高いことがわかってきました。
AMHを測ることによって、卵巣にある卵子の数が多いか少ないか、知ることができます。また、卵子の数は年齢によってどんどん減るので、AMHも年齢によって低下します。
しかし、AMHは決して年齢と相関していません。20代でも30代でもAMH値が高い人もいれば低い人もいます。AMH値と年齢のグラフをみてみても、標準偏差がとても長くなって、まったく正規分布しません。
すなわち個人差が大きいのです。25歳でも標準偏差の下限値の人は、49歳の平均値と同じで、とても少ない数の卵子しか持っていないことになります。
また、44歳でも標準偏差の上限値の人は35歳の平均値とほぼ同程度の卵子を持っていることになります。
20代後半で、AMHの標準偏差下限値が1以下となっています。すなわち、20代後半から妊娠に関してはかなり厳しい人も出てくることがわかります。
ただし、AMH=妊娠率ではありません。AMHの測定は、卵子がどれだけ残っているかを判断するものです。
月経周期に関係なく採血検査で自身のAMHを調べることができます。
「私はいくつだからだいじょうぶ」ではなく、「私のAMHはいくつあるから大丈夫」というように正しい自分のAMH、卵巣予備能を知ることが大切です。
卵巣予備能を知ることは、不妊治療がいつまでできるかの目安ともなりますし、これから妊活を始めようと考えている方にも大切であると思います。
AMHは "妊娠しやすさ"について知ることができれば、仕事と家庭に関する将来の設計もよりしやすくなるのではないでしょうか。
皆さんも健康の指標としてぜひ、自分のAMH値について知ってみてはどうでしょう。
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投稿者/ Contributor
- 浦野晴美・理爺長
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育良クリニック創設者。
どうでもいいことを「理爺長のつぶやき」でつぶやいたり産科医としてのコメントをのせます。 - 院長
- とらママ
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育良クリニックマネージャー。
2011年1月、第一子「とらさん」
2012年6月、第二子「りゅうちゃん」
2014年2月、第三子「うまくん」
2016年4月、第四子「おさる」
2020年10月、第五子・初女子「じら」
(すべて愛称)
を当院で出産。
妊娠・出産・育児の奮闘記を綴ること多し。 - 医療スタッフ
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医療スタッフ
開院当初からの超ベテラン。
医療的な質問に回答したり、日々のできごとを綴ります。 - 育良事務局
- コンシェルジュスタッフがイベントやお知らせを随時配信します。