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2021.05.01生殖医療科

胚培養士のお仕事②~精子調整方法について~ 医療スタッフ

精液中には、元気な精子やそうでない精子、死んだ精子も含まれています。

人工授精・体外受精・顕微授精では、精液をそのまま使用するのではなく、精漿成分などの不純物を取り除き運動性の高い精子を取り出す調整という工程が必要となります。

当院では、体外受精・顕微授精の際の精液調整は、「ZyMōtスパームセパレーター」を使用しています。

従来の方法では、遠心処理による精子へのダメージや、活性酸素に長時間さらされることで、精子DNAに損傷を負わせてしまう(DNA断片化)可能性がありました。

ZyMōtスパームセパレーターは、精子に影響を与える可能性のある遠心分離操作を行わないため、DNA損傷の少ない精子を回収できます。

その結果、ARTの成績を向上させる可能性のある機器になります。

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  • DNA修復機能について

卵子はDNAに起きた断片化を修復することができますが、精子に修復機能はありません。

そのため精子で起きたDNAの断片化は受精後に卵子が持つDNA修復機能によって修復されると考えられています。

胚発育が不良な患者様や流産を繰り返す患者様では卵子のDNA修復機能が低下している可能性が報告されています。

そのため、体外受精では精子DNAの断片化が起きていない質の高い精子を回収し治療に用いることが重要であると考えられます。

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  • ZyMotの効果を示す論文データ

反復不成功の患者群において精子処理をZyMotと密度勾配遠心分離法の2群に分けて精子DNA断片化率、着床率、臨床妊娠率、継続妊娠率のデータを示した論文の図表です。

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ZyMotを使用することにより、精子DNAの断片化(損傷)率は低下し、着床率、臨床妊娠率、継続妊娠率は密度勾配遠心分離法と比べて高い結果が得られています。

メリットとして、遠心分離せずに精子を回収できるため、精子の物理的な損傷を減らすことが期待できることなどがあげられますが、一方で、遠心分離法よりも精子調整後の精子回収量が少ないことがデメリットとして挙げられます。

人工授精では精子数が大事な要素の1つであるため、より精子を回収できる遠心分離法を使用し、採卵時の精液調整では「ZyMōtスパームセパレーター」を使用と分けています。

資料参考:東機貿

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浦野晴美・理爺長
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2011年1月、第一子「とらさん」
2012年6月、第二子「りゅうちゃん」
2014年2月、第三子「うまくん」
2016年4月、第四子「おさる」 (すべて愛称)
を当院で出産。
妊娠・出産・育児の奮闘記を綴ること多し。
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