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生殖医療科 医療スタッフ

ステップアップについて

お久しぶりです。 

胚培養士の富田です。

今日はステップアップについてお話します。

当クリニックの治療基本方針は、ステップアップ治療です。

出来るだけ自然妊娠に近い治療法から開始して、一定の成果が認められない場合には、妊娠の確立を高める為に治療内容を順次レベルアップしていきます。

しかし、何らかの原因を認める場合には、その原因に応じた治療からスタートします。

タイミング療法での妊娠率は不妊症ではない夫婦では810%とされておりこれは避妊をせず半年で成立する確率です。不妊症夫婦の場合は24%とされています。

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出典元:Dunson DB, Colombo B, Baird DD. Changes with age in the level and duration of fertility in the menstrual cycle. Hum Reprod. 2002 May;17(5):1399-403.

このグラフは、排卵日からどのタイミングで性交渉をしたら妊娠率が良いか調べたものです。

最も妊娠した人が多かったのは、 どの年代も排卵日の2日前となっております。

その期間に性交渉することが妊娠への1歩となります。

続いては、人工授精の妊娠率と実施回数についてお話します。

無題2.png

出典元:日本産婦人科医会

人工授精の実施回数は5~6回で累積妊娠率が上昇しないプラトーの状態に達しているのが分かります。このデータにより人工授精を56回施行して妊娠していなければ体外受精へのステップアップを勧めることになります。

上記のことから現在の不妊治療ではタイミング療法6か月、人工授精56回で妊娠が成立しなければ、体外受精(ART)へのステップアップが勧められます。

当院での目安はタイミング療法と人工授精ともに46回程度としておりますが、患者様によってこれまでの治療歴や奥様の年齢、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患が合併している場合、あるいはとにかく早い妊娠をご希望されている場合などでは、ご夫婦のご希望をお伺いして相談の上で治療方針を決定しております。

プロフィール/ Profile

育良クリニック

目黒区にある産婦人科です。
患者様へのお知らせや、妊娠育児のあれこれ配信しています。

投稿者/ Contributor

浦野晴美・理爺長
育良クリニック創設者。
どうでもいいことを「理爺長のつぶやき」でつぶやいたり産科医としてのコメントをのせます。
院長
とらママ
育良クリニックマネージャー。
2011年1月、第一子「とらさん」
2012年6月、第二子「りゅうちゃん」
2014年2月、第三子「うまくん」
2016年4月、第四子「おさる」
2020年10月、第五子・初女子「じら」
(すべて愛称)
を当院で出産。
妊娠・出産・育児の奮闘記を綴ること多し。
医療スタッフ
医療スタッフ
開院当初からの超ベテラン。
医療的な質問に回答したり、日々のできごとを綴ります。
育良事務局
コンシェルジュスタッフがイベントやお知らせを随時配信します。

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